株式会社と持分会社について①

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今回は、株式会社と持分会社について解説していきます。

設立件数について

会社形態には、様々のものがあります。
下のグラフは、2022年度の会社形態ごとの1年間の設立件数をまとめたものになります。
一番多い形態は、株式会社です。次に多いのが、合同会社です。合資会社、合名会社はほとんど利用されていないのが実情です。
合同会社、合資会社、合名会社を持分会社と呼びます。

法務省:登記統計「会社及び登記の種類別会社の登記の件数(2022年度)」

現在、日本にある株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の割合です。ほぼすべてが株式会社だとわかります。

国税庁:会社標本調査結果「法人数の内訳(2021年度)」

株式会社とは

株式会社とは、

①会社の所有権を株式という権利にし、
②出資者は出資額以上の責任を負わず、
③会社の経営権を出資者以外の人が持つことができる

会社形態をいいます。会社を経営する人を取締役といい、取締役には株式を持っている人以外もなることができます。株式をもっている人を株主と呼び、株主には様々な権利が認められています。

株式を1株でも所有している株主に認められる権利(単独株主権)

単独株主権持ち株要件
会社、子会社の損益計算書や貸借対照表、
定款・株主名簿を閲覧できる権利
1株
株主総会に出席できる権利
株主総会で議案を提案できる権利
取締役会のない会社で
株主総会の議題を追加することができる権利
株主総会の決議を
取消すための訴えをする権利
差止めを請求する権利
(例)全部取得条項、売渡請求、併合、
 募集株式発行、
自己株式処分、組織再編など
取締役等への責任を
追及するための権利

株式を一定以上所有している株主に認められる権利(少数株主権)

少数株主権持ち株要件
会社を解散するように
裁判所へ訴える権利
議決権が10%以上
 または
持ち株数が10%以上
会社の会計帳簿を
閲覧や謄写できる権利
議決権が3%以上
 または
持ち株数が3%以上
株主総会の招集を
請求する権利
議決権が3%以上
役員等の解任を
裁判所へ訴える権利
議決権が3%以上
 または
持ち株数が3%以上
取締役会のある会社で
株主総会の議題を追加することができる権利
議決権が1%以上
 または
議決権300個以上

持分会社とは

合同会社、合資会社、合名会社を持分会社といい、株式会社とは会社形態が異なります。
持分会社は、

①会社の所有権を持分という権利にし、
②出資者は出資額以上の責任を負う場合があり、
③会社の経営権を出資者以外の人が持つことができない

会社形態をいいます。つまり、持分会社は出資者=経営者となり、その人たちを社員といいます。

社員の責任の違い

社員は持分会社の種類により、会社に対する責任の範囲が変わってきます。

持分会社の種類社員の責任
合同会社出資額以上の責任を
負わない
合名会社出資額以上の責任を
負う
合資会社出資額以上の責任を
負わない場合と負う場合がある

出資額以上の責任を負わない社員を有限責任社員と呼び、出資額以上の責任を負う社員を無限責任社員と呼びます。

株式会社と持分会社の違い

株式会社と持分会社の違いを、出資者や経営者に絞って比較すると下記のようになります。

株式会社合同会社合名会社合資会社
出資者の
名称と最低員数
株主
1人以上
有限責任社員
1人以上
無限責任社員
1人以上
無限責任社員
有限責任社員
各1人以上
出資者の
責任
出資額以上の責任を負わない出資額以上の責任を負わない出資額以上の責任を負う出資額以上の責任を負う人と負わない人がいる
経営者の
名称
取締役社員社員社員
経営者=出資者
になるか
なることも可能なるなるなる

最後に

株式会社と持分会社の違いの一部を解説しました。この二つの会社形態の違いは、実はもっとたくさんあります。すべてを説明すると本一冊ほどの分量になるため、まずは入口部分について解説しました。また、第2弾で解説していきたいと思います。
株式会社と持分会社について、もっと知りたい方は津市のみずたに司法書士事務所にお気軽にご相談ください。