今回は、戸籍の移り変わりを解説していきます。
戸籍の歴史
戸籍は、7回様式が変更されています。様式が変更されることを「改製」と呼び、改製前の戸籍を「改製原戸籍(かいせいはらこせき)」と呼びます。市役所に行って戸籍を取得する際に「改製原戸籍いりますか?」と聞かれることがあると思います。つまり、様式が変わる前の戸籍もいりますか?ということになります。
戸籍は、明治から作られましたが、明治以前にも身分台帳や課税台帳としての機能を有している戸籍が作られていたようです。
それでは、戸籍の移り変わりを見ていきましょう。
1.壬申戸籍(じんしんこせき)
明治維新以降、近代的な全国統一の戸籍制度を施行し、明治4年4月4日に戸籍法が制定され、それにより生まれたのが「壬申戸籍」です。壬申戸籍は、施行された明治5年2月1日を基準に「明治5年式戸籍」とも呼ばれています。壬申戸籍には、現在戸籍とは違い、宗教、職業、犯罪歴等が記載されていました。そのため、壬申戸籍は現在では公開されていません。
※「事例でわかる基礎からはじめる旧民法相続に関する法律と実務」より抜粋
2.明治19年式戸籍
明治19年10月16日以後に作成された戸籍を「明治19年式戸籍」と呼びます。昭和23年式戸籍に改製されるまで、戸籍に記載される単位が「家(一族)」であり、1人ひとりの欄が小さく区切られているのが特徴です。
3.明治31年式戸籍
明治31年7月16日以後に作成された戸籍を「明治31年式戸籍」と呼びます。戸籍に記載される単位が「家(一族)」であり、見本の赤枠「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」欄があるのが特徴です。
4.大正4年式戸籍
大正4年1月1日以後に作成された戸籍を「大正4年式戸籍」と呼びます。
戸籍に記載される単位が「家(一族)」であり、「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」欄が削除され、その事項が戸主の事項欄に記載されているのが特徴です。
5.昭和23年式戸籍簡易改製
敗戦後、家制度が廃止(夫婦単位の戸籍への変更)され、昭和22年の新戸籍法により「昭和23年式戸籍」が作られました。しかし、家制度の廃止による戸籍の様式変更には、時間がかかりました。そこで、昭和33年4月1日以降に順次、第一次的に「簡易改製」が行われました。「簡易改製」は「大正4年式戸籍」の様式をそのまま使用し、赤枠箇所に改製事由を記載することで改製された戸籍とみなし、戸籍に記載される単位が「夫婦と子」となったことが特徴です。
6.昭和23年式戸籍
簡易改製とされたものも含めて、昭和41年3月末までに「昭和23年式戸籍」へと改製が行われました。「昭和23年式戸籍」は、戸籍に記載される単位が「夫婦と子」であり、戸主の記載が削除され、新たに戸籍の事項欄がもうけられたのが特徴です。
7.現在戸籍
平成6年12月1日以後に作成された戸籍を「現在戸籍」と呼びます。この改製により戸籍が縦書きから横書きになったことが特徴です。
最後に
戸籍にも様々な様式のものが存在します。どの様式の戸籍かにより、記載されている内容も変わるため、戸籍を読み解くにも専門的な知識が必要になります。
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